公開日に、DCの意欲作『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』を観てきました!
この映画を観た率直な感想は、「ダサい自己満映画」です。
「女性の自立を描く」という目的はわかりますが、表現方法や作品のメタ構造としてダサい作品なんです。
前作『ジョーカー』が映画史に残る名作で、かなり期待していただけに、がっかりする一作となりました。
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒の概要・あらすじ
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』の概要とあらすじを紹介します。
Youtubeの動画もおきますので、まったく知らない方は是非。
ジョーカーと別れたハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)は束縛から解放され、街にはびこる悪党が敵意を持つほど暴れまくっていた。謎のダイヤを盗んだ少女をめぐって、裏世界を支配するサイコパス、ブラックマスク(ユアン・マクレガー)と対決することになった彼女は、くせ者ばかりを集めてチームを作り上げる。
出典:「Yahoo!映画」より
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒の感想

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』を鑑賞した感想です。
- ハーレ・クインの衣装やデザインは良い
- 冒頭の展開がごちゃごちゃしている
- 物語上に不必要な演出が多い
- 希薄なストーリー
- アクションは劣化版ジョン・ウィック
- メタ要素を入れる必然性がない
ハーレ・クインの衣装やデザインは良い
今作で唯一、よかった点は「ハーレイ・クイン」の衣装と映画全体のデザインです。
「BIRDS OF PREY」になぞらえたハーレイ・クインの鳥っぽい衣装が物凄く可愛いかったですね。
『スーサイド・スクワット』のハーレイ・クインは、青とピンクを基調にしたセクシーな衣装をしていましたが、今作のピンクとゴールドで可愛らしい雰囲気です。
ジョーカーと別れ、男性的な抑圧から解放され、「自分らしさに覚醒するハーレイ」をよく描けていたと思います。
冒頭の展開がごちゃごちゃしている
冒頭の20分ぐらいは物語の時間軸がめちゃくちゃでかなり複雑です。
ハーレイ・クインは結構はじけた女性で言っていることもやっていることも支離滅裂です。
そんな支離滅裂なハーレイ・クインの人となりを表現するという点では、適した演出だと思いますが、ついていくのが大変でした。
物語上に不必要な演出が多い
映画には「チェーホフの銃」という技法・ルールがあります。
ストーリーに持ち込まれたものは、すべて後段の展開の中で使わなければならず、そうならないものはそもそも取り上げてはならないという概念。
この映画は意図的かもしれませんが、至るところに不必要な演出が多く下手です。
ハイエナのブルースが爆発に巻き込まれ生死不明でハーレイ・クインが悲しむ描写は何のために必要だったのでしょうか?
希薄なストーリー
ストーリーは正直あってないようなものです。
言ってしまえば「ハーレイ・クインがダイヤを盗んだ子どもを守る」だけです。
あっと驚くような展開や深みのあるストーリーをこの映画に求めない方がよいですね。
ただただ、デザインやハーレイ・クインのアクションを楽しむ映画です。
アクションは劣化版ジョン・ウィック
この映画は、モブキャラがひたすらハーレイ・クインに襲い掛かり、ハーレイは関節技や金的攻撃で大男を次々に倒していきます。
力を使わずデカい男を倒すという描写は、腕力で劣る女性の強さを表現として説得力があってよかったです。
しかし、アクション描写にフレッシュさがなく、革命的な映画『ジョン・ウィック』の劣化版な印象を受けました。
メタ要素を入れる必然性がない
今作は『デットプール』のようにハーレイ・クインが観客の方を向いて語りかけるというメタ的な要素があります。
デットプールは原作コミックで、読者に直接語りかけるキャラクターでメタ要素を映画に持ち込む必然性がありましたが、ハーレイ・クインは違います。
デットプールっぽくしたいんだろうなという安直さがぬぐえませんでした。
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒のネタバレ・考察

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒のネタバレ・考察です。
「女性の自立を描く」という目的意識の割にダサい作品である理由を解説します。
女性だけで映画を作る志が中途半端でぬるい
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』は、製作陣営、主演がすべて女性がうたい文句の近年の女性のエンパワーメントの潮流を加速させる映画です。
女性の社会進出や活躍自体は素晴らしいことだと思いますが、この映画での表現がダサしぬるすぎます。
この映画を「劣化版ジョン・ウィック」と表現しましたが、それもそのはず、『ジョン・ウィック』の監督である「チャド・スタエルスキ」がアクションシーンで協力しています。
「チャド・スタエルスキ」は男性なので、この時点で製作陣営が女性だけで行うという志を失っておりぬるいと思われても仕方がありません。
映画表現として男性作品に勝てていない
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』では、女性は強く素晴らしく、男性は残酷で支配的な敵として描かれます。
ハーレイ・クインは、女性を抑圧から解放するように男性をボコボコに叩きのめします。
敵役のユアン・マクレガーがかなりのクソ野郎なので、この表現自体は痛快でスカッとします。
しかし、これは単に空想上で男を倒していることにすぎず「女性は凄いんだ」を描く作品としてはイマイチです。
空想で敵を倒すなんて誰でもできます。私も想像ではマイクタイソンをボコボコにすることなんて簡単です。
映画で男性を倒し女性の凄さを表現したいのなら、映画表現や映画作品自体のクオリティで勝利すべきです。
この映画で一番盛り上がるシーンは、冒頭の化学工場の爆破シーン。この爆破シーンは言うまでもなく『ダークナイト』におけるヒースレジャー版ジョーカーのオマージュです。
一番、映画的にテンションが上がるシーンがオリジナルじゃないし、男性が造った映画が由来です。
また、DCコミック映画としても『ジョーカー』の足元にも及ばず、アクションシーンも『ジョン・ウィック』の劣化です。
なので、本質的に「女性のエンパワーメント」を表現する映画としてダサいんです。
中国に対する意識の表れ
冒頭の中国系マフィアとのやり取りと、ハーレイ・クインが守る子役との関係から現代の中国に対する意識の表れが見て取れます。
映画内で、敵役のユアン・マクレガーは中国系マフィアのボスと協力関係を築こうとしますが、中国系マフィアのボスはファミリーではないことを理由に拒絶します。
拒絶した中国マフィアのボスはユアン・マクレガーの怒りを買い、顔の皮をはがされて殺されてしまうのです。
一方で、ハーレイ・クインは中国人の子どもをマフィアから守り、最後にはバディを組みます。
現実社会に目を向けると、ご存知の通り、中国とアメリカ間で貿易摩擦が起きており世界経済に打撃を与えています。
製作会社か監督(中国人)の意図かは分かりませんが、中国に対して「閉鎖的な態度はやめてアメリカと仲良くすれば幸せになれるよ」というアメリカ人の潜在意識を汲み取ることができます。
ハーレイクインの華麗なる覚醒のネタバレ・考察のまとめ
DCコミックの実写映画ですし、「女性の自立」といった社会的なテーマなど考えず、頭を空っぽにして見る映画です。
高尚なテーマが頭にあると、ヌルさやダサさがノイズになって映画を楽しむことができません。
ハーレイ・クインのキャラクターや映画のデザインは良いので、肩に力をいれず楽しみましょう!
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