公開日の翌日に、話題の映画『フォードVSフェラーリ』を観てきました!
この作品を一言でいうと、切れ味鋭いレースシーンと伴に、「儲け主義VSレースへの愛」を描いた友情ドラマです。
上映時間が2時間近くあったのですが、まったく退屈せず非常に楽しめました!
フォードVSフェラーリの概要・あらすじ
『フォードVSフェラーリ』の概要とあらすじを紹介します。
Youtubeの動画もおきますので、まったく知らない方は是非。
カーレース界でフェラーリが圧倒的な力を持っていた1966年、エンジニアのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)はフォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられる。敵を圧倒する新車開発に励む彼は、型破りなイギリス人レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に目をつける。時間も資金も限られた中、二人はフェラーリに勝利するため力を合わせて試練を乗り越えていく。
出典:シネマトゥデイ
フォードVSフェラーリの感想

『フォードVSフェラーリ』を鑑賞した感想です。
良かった点:手に汗握るカーレースシーン
ラストのル・マン24時間耐久レースはもちろん、中盤のキーポイントのデイトナ24時間耐久など手に汗握るカーレースシーンが満載です。
マイルズのクビを止めるために、フォードの社長を車に乗せてコースを激走するシーンも必見で、観客がレースカーのド迫力を追体験できるシーンになっています!
良かった点:奥さんの支えと気遣いに泣かされる
開発者兼ドライバーであるマイルズを常に理解し見守ってきた奥さんモリーには泣かされます。
中でも良かったのは、マイルズが1度目のル・マンのドライバーから外されたシーンです。
他のチームのメンバーがル・マンで戦っている中、マイルズはマシンの工場で1人孤独にラジオでレース中継を聴いていました。そんな中、モリーがサンドイッチとソーダを持って、マイルズを慰めに現れます。
決して口には出しませんが、1番マシンを理解し実力があるマイルズにとって、上層部が認めてくれないこと、ドライバーを外されたことは、物凄く悔しかったはずです。誰よりもそのことを理解し、そっと励まし認めてくれるモリーにぐっときます。
良かった点:シェルビーとマイルズの友情に胸が熱くなる
いい年して殴り合いのケンカもするし、対立することも多い2人ですが、その根本ではレースへの愛、互いへの信頼で深く結ばれています。
同じ7000回転の境地にたどり着いた2人は、言葉を交わさずともどこか通じているところがあり、レースの勝負をしかけるタイミングも以心伝心しているかのように一致するのです。
シェルビーはマイルズのために自分が所有する会社を賭け、マイルズはシェルビーのためを思ってか、ル・マンの独走優勝をあきらめます。
そんな互いを全力で信じ、認め合う2人の友情に胸が熱くなります。
良かった点:マシンを愛し知り尽くした開発者マイルズの完全勝利
ラストのル・マン24時間耐久レース。マイルズはフェラーリに1周差をつけられ、このままだと負けてしまいます。
そんな中、マイルズはフェラーリの横に並び直線でスピード勝負を仕掛けます。負けそうになったフェラーリはムキになり、許容範囲を超える9000回転までスピードをあげてしまいます。限界を超えたフェラーリのマシンは故障し、マイルズは堂々1位に踊りでるのでした。
この勝利は、マイルズが凄腕のドライバーというだけなく、マシンの開発者だからこそ成し得たものだと思います。 マシンの可能性と限界を誰よりも知り尽くしているからこそ、限界までマシンを信じて加速し、限界がくる前にセーブできるのです。
マシンの性能を100%発揮できる開発者マイルズでしか成し得ない勝利でした!
いまいちな点:VSフェラーリの描写が弱い
今作はVSフェラーリということもあり、ラストのル・マンではフェラーリと一騎打ちする場面が描かれます。
しかし、フェラーリは映画序盤の因縁シーンを過ぎたあとは、ラストのル・マンまで登場しません。フェラーリのドライバーも、これまでまったく登場していなかった人物なので、対立構造が弱く感じます。
いまいちな点:メカニックの凄さが描ききれていない
ル・マンは耐久レースです。最後のレースでフォードが勝利できたのは、スピードというよりもマシンが壊れなかったためです。(もちろん限界を見極めたマイルズのドライビングテクニックも勝利の一因です。)
しかし、この映画では、マシンの耐久性に関わる、メカニックの整備や努力がそこまで描かれません。もう少し、その点を描けていればもっと深みが出たのではないかと思います。
フォードVSフェラーリの解説・考察

フォードVSフェラーリのネタバレ・考察です。
時代背景や作品の構造などを解説します。
ルマン24時間耐久レースとは?
24時間の周回数を競う世界で最も過酷な耐久レースです。F1やインディ500と並んで世界3代レースと呼ばれています。
映画でのマシンの衝突や大破シーンは決して大袈裟なものではなく、24時間走り続ける過酷なレース現場では、様々なトラブルが発生します。そのため「ル・マンには魔物が棲んでいる」との格言が生まれました。
レーシングチームにとって、そんな過酷なレースを制するのは、非常に名誉なことでF1とル・マンを両方制したフェルナンド・アロンソは、ル・マン優勝時「F1のシリーズチャンピオン獲得とは比較できない喜び」とインタビューで発言しています。
当時の自動車業界の様子とは?
今作『フォードVSフェラーリ』を理解するためには、舞台となった1966年付近の自動車業界の状況を理解しておく必要があります。映画でも若干触れらていますが、より詳細に解説します。
1960年代は、フェラーリが圧倒的にカーレース業界で強く、レースに優勝しブランドイメージを向上させて、高級な車を売るというビジネスモデルでした。しかし、レースに大金をつぎ込みすぎた結果、経営は危機的状況に陥っていました。
一方で、フォードの経営も順調とは言えない状態でした。当時のフォードば大衆車を大量生産する薄利多売のビジネスモデルであり、安いっぽいブランドイメージに課題を抱えていました。
そこで、ブランドイメージを向上させるべく、フォードがカーレースシーンに参入し、絶対王者フェラーリと対決することになります。
登場人物の物語上の役割描写が見事!
今作『フォードVSフェラーリ』は、冒頭のシーンで登場人物の物語上の役割を的確に描いています。
シェルビーは、レースに燃え、周囲を巻き込みながら物事を前に推し進める人物です。冒頭、レースシーンで登場し、マシンのトラブルで文字通り全身炎に包まれながら、チームをル・マンを優勝に導きます。
マイルズは、破天荒ながら自分の信念を貫き通す人物として描かれます。登場シーンでは、修理にきたお客さんとスポーツカーのことで揉めて口論になります。そんな破天荒な一面がありながら、自分でカスタムカーを作り、レースに出場して優勝する等レースや車対して並々ならぬ思いがある人物です。
マイルズの奥さんモリーは、マイルズを見守り続ける人物として描かれます。冒頭、お客さんと口論になったマイルズの様子を見守る形で登場し、呆れながらもマイルズを理解を示します。
マイルズの子ピーターは、映画の案内人です。子どもで知識がないため、ピーターの目線は観客の目線と同じです。観客は、ル・マンのコースやマイルズのドライバーとしての天才的な感覚などを、ピーターを通して知ることになります。
この作品は、登場人物の役割分担や位置づけが明確で、尚且つ描写が秀逸なので、その点も注意して映画を観てみるとより一層楽しめると思います!
レースシーンはほぼ実写
CG全盛の昨今の映画シーンですが、今作『フォードVSフェラーリ』は、ほとんどのカーレースシーンが実写をもとに撮影されています。
マシンが大破するクラッシュシーンや、宙を舞うシーンも下のYoutubeのリンクの通り実写で撮影されています。
そのため、臨場感が抜群で、観客はレースシーンに没入して鑑賞できます!
儲け主義VSレースへの愛
今作は「儲け主義VSレースへの愛」の対立構造で物語が描かれます。
レースでは、「儲け主義のフォードVSレース愛のフェラーリ」の戦いが描かれ、レース外では、「儲け主義のフォード上層部VSレース愛のシェルビー&マイルズ」の戦いが描かれます。
儲け主義とレース愛、映画を表面的に観ると、レース愛が正しいように受け取ってしまうかもしれませんが、そうではありません。
レース愛を追及したフェラーリは経営破綻寸前に陥っていますし、マイルズは悲劇の最後を迎えます。フォードがル・マンを勝利できたのも、薄利多売で儲けた利益があってこそです。
儲け主義だけはレースに勝てませんし、レース愛だけでも経営が成り立ちません。両者は共存関係にあり、バランスが重要ということになります。
フォードVSシェルビーが気に入ったら観る映画
今作『フォードVSフェラーリ』は、鋭いカーアクションや、シェルビーとマイルズの友情を描いた感動作です。
作中に登場する車は本当にカッコよく、この作品をきっかけに車に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか?
そんな、あなたのために、おすすめ関連作品をご紹介します!
シェルビー・マスタングが出てくるおすすめ映画
本作の主人公シェルビーと言えば、カーデザイナーとしても有名です。中でも名車に挙げられているのがシェルビー・マスタングです。そんなシェルビ・マスタングが登場する映画をご紹介します。
- 『60セカンズ』登場車種:1967年式マスタング シェルビーGT500
- 『ドライブ』登場車種:2011年式マスタングGT
- 『最高の人生の見つけ方』登場車:1966年式マスタング GT350
カーアクションが秀逸なおすすめ映画
今作の魅力の1つは鋭いカーアクションです。カーアクションが秀逸なおすすめ映画を紹介します。
- 『ワイルド・スピード』シリーズ
- 『トランスポーター』
- 『スピード』
- 『ベイビー・ドライバー』
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